食べさせるのはOK?市販の介護食とベビーフード(離乳食)の違い
介護食よりも種類が多く、比較的安く購入できるベビーフード。
月齢に合わせて商品があり「食べやすさ」で段階を分けています。
- 5ヶ月頃から......なめらかにすりつぶしたもの
- 7ヶ月頃から......舌でつぶせるもの
- 9ヶ月頃から......歯ぐきでつぶせるもの
- 12ヶ月頃から......歯ぐきや歯でかみつぶせるもの
- 1歳4ヶ月頃から......歯でかみつぶせるもの
※ベビーフード......離乳食の中で乳児(1歳6ヶ月まで)を対象にした加工食品を指す言葉のこと。
市販の介護食品「ユニバーサルデザインフード」でも、ベビーフードと同様に「食べやすさ」で商品を4つの区分に分けています。
- 区分1(容易にかめる)
- 区分2(歯ぐきでつぶせる)
- 区分3(舌でつぶせる)
- 区分4(かまなくてよい)
きざみ食(区分3)は離乳食後期(7ヶ月頃から)、ペースト食(区分4)は、離乳食中期(5ヶ月頃から)というように置き換えて考えることもできます。
ベビーフードと介護食は全く別の年齢層をターゲットにした商品ですが、ベビーフードを介護食として活用することも難しくありません。
ただし利用の際はいくつか注意点があります。
ベビーフードとの違いを比較しながら、安全に食べさせられる介護食を見ていきたいと思います。
介護食とベビーフードの違い
- 味が薄い・塩分が低い
- 栄養素が少ない
- とろみが多い
味が薄い・塩分が低い
離乳食やベビーフードは赤ちゃんに「味を覚えさせる」「噛んで飲み込むなど、食べるトレーニングを行なう」という目的で使うので、薄味で素材そのものの味を活かした仕上がりになっている商品が多いです。
市販の介護食品は一般的な加工食品と同じ味付けになっており、高齢になると味覚も鈍くなるので、普段介護食品を食べ慣れている人にとっては「味が薄い」と感じると思います。
ただし「味が薄い=塩分が低い」とも言えるので、高血圧症などで塩分摂取制限が必要な人への食事として向いています。
どうしても「そのままだと味が薄い」という場合は、食べる前に調味料を加えます。
なるべくうま味や香辛料などを工夫して使うことで、塩分摂取量を抑えるようにすると健康的です。
栄養素が少ない
ベビーフードは授乳と併用して「補助的」に利用される食事の為、同じ容量でも含まれている栄養素が少ない場合が多いです。
高齢になると、食事が上手く食べられなくなったり、消化機能が落ちたりすることで、栄養がきちんと摂取できず「低栄養化」になりがちです。
介護食よりも栄養素が少ないベビーフードを使うことで、より低栄養化になる可能性も否定できません。
ベビーフードを介護食として利用する際は、栄養剤を加えるなどすることで、低栄養化を防ぐ工夫が必要になります。
とろみが少ない
ユニバーサルデザインフードなどは、食べた物が口の中でまとまりやすいように、とろみがついている場合が多いです。
赤ちゃんは食べ物や飲み物を気管内に飲み込んでしまう「誤嚥(ごえん)」が少ないので、ベビーフードも「飲み込みやすさ」に、さほど気を使う必要がありません。
一方、高齢者は飲み込む力が弱まったり、喉から食道までの距離が長かったりする為、どうしても誤嚥が起こりやすいです。
ベビーフードにとろみが付いていても、介護食よりも加減が少ない場合が多い為、片栗粉やとろみ調整剤、おかゆなどを加えることで「飲み込みやすさ」に、注意する必要があります。
最後に
ユニバーサルデザインフード(UDF)のよくある質問を見ると「ベビーフードには不向きです」と記載されています。
理由は「味が濃い・塩分が高い・栄養素が多い」の3つ。
その為、介護食をベビーフードとして使うのは難しいのですが、その逆であれば「味と栄養素、とろみの調整」をすることで、充分に介護食として使えます。
「近くのスーパーに介護食品が全然売っていない......」という時は、一度ベビーフードの棚を見てはいかがでしょうか。きっと普段の食事を心強くサポートする商品が見付かると思います。