高齢者の約7割が当てはまる「低栄養問題」原因と症状とは?

低栄養の原因・症状

75歳以上の後期高齢者になると「低栄養」「栄養欠乏」の問題が出てきます。

国立長寿医療研究センターが、在宅容量患者の高齢者を対象に行なった調査(2012年)によると、低栄養状態にある人が34.7%、「低栄養のおそれあり」は35.2%と、合計で約7割の人が栄養が充分に取れていないことが分かります。

高齢者と低栄養

高齢者になると、1回あたりの食事量が少なくなったり、加齢による噛みやすさや飲み込みやすさの関係から偏食になりやすかったりするので、どうしてもエネルギーや栄養が不足しがちになります。

中高年は「肥満・メタボ」が気になる所ですが、高齢者の場合は「低栄養」「栄養欠乏」に特に気を付ける必要があります。

原因

高齢者が低栄養になる代表的な要因は以下の通り。
単純に「噛む力、飲み込む力」だけでは無いことが分かります。

家族や施設の利用者さんの低栄養状態が気になる時は「何が食べない原因になっているのか?」を考えて、それぞれに応じた対策が必要になります。


【社会的要因】
一人暮らし、介護力不足・ネグレスト、孤独感、貧困

【精神的心理的要因】
認知機能障害、うつ、誤嚥・窒息の恐怖

【加齢の関係性】
嗅覚や味覚障害、食欲低下

【疾患要因】
臓器不全、炎症・悪性腫瘍、疼痛み、義歯など口腔内の問題、薬物の副作用、咀嚼・嚥下障害、日常生活動作障害、消化管の問題(下痢や便秘)

【その他】
不適切な食形態の問題、栄養に関する誤認識、医療従事者の誤った指導

症状

低栄養で特に気になるのがエネルギー、たんぱく質不足です。

エネルギーは身体を動かす源、たんぱく質は筋肉や皮ふ、骨、爪、内蔵など、身体の大部分の元になる栄養素です。

その為、エネルギーやたんぱく質が不足すると、身体に色々な変化が起こります。

  • 痩せてくる
  • 全体的に元気がない
  • 肌が乾燥、弾力がなくなる
  • 皮ふの炎症が起こりやすい
  • 傷や褥瘡(じゅくそう)が治りにくい
  • 抜け毛や毛髪の脱色が目立つ
  • 風邪などの感染症にかかりやすい
  • 握力が弱い
  • 下半身や腹部にむくみが出る
  • 要介護の動作が増えてくる

また高齢者は低栄養と脱水が同時に起こりやすいので、脱水の症状が出た時も、低栄養を疑った方が良いです。

低栄養を判断する方法

「低栄養状態にあるかどうか?」を調べる方法として、代表的なものに「BMI(体格指数)」と「栄養スクリーニング」があります。

BMI

体重と身長を調べることで「どの程度自分が痩せているか、太っているか」を客観的に判断できます。

標準よりも低い数値ならば「やせ気味・低栄養の傾向」、高い数値ならば「太り気味・食べ過ぎの傾向」。

「やせ気味=1日に必要な栄養が不足している」と分かり、数値化することで数値に応じた対策が取りやすいのもメリットです。

【BMIの計算式】
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

18.5未満......やせ
18.5~25未満......標準
25以上......肥満

例:体重50kg、身長150cmの人のBMIは22(標準)。
50(kg)÷1.5(m)÷1.5(m)=22.2222......

栄養スクリーニング

栄養障害に関連した特徴的な事柄から、栄養不良や栄養関係の障害の可能性がある人を見分ける方法です。

「はい」と答えた質問に応じた点数を数えて、合計点数から判定を行ないます。

病気または症状の為、食べ物の種類や量が変化した......2
一日に食べるのは2食以下だ......3
果物、野菜、乳製品をあまり食べない......2
3杯以上のビール、日本酒などの酒類をほとんど毎日飲む......2
食べるのが困難になるような歯や口腔の問題がある......2
経済的な理由により、食事を制限せざるを得ない......4
毎日1人で食事をしている......1
1日3種類以上の薬を飲んでいる......1
過去6ヶ月間に約5kgの体重の増減があった......2
自分で買い物や料理をして、食べられないことがある......2

【合計点数】
0~2......栄養状態良好
3~5......栄養状態低下の傾向
6~......栄養不良の危険


参照:「日本人の食事摂取基準(2015 年版) 3 高齢者」(PDFファイル)
高齢者の栄養評価と低栄養の対策(PDFファイル)

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