飲み込みやすい姿勢で食事をする為のタイプ別ポイント

飲み込みやすい姿勢とは?

食べ物や飲み物が飲み込みやすい姿勢とは「自分にとって楽な姿勢」のこと。

人によって「楽だ」と感じる姿勢は異なりますが、のどや首周り、胸や背中など、身体に変な力が入っていない姿勢=楽な姿勢と考えられます。

食べ物を飲み込む「嚥下」が最も上手くいく姿勢が「頸部前屈位(けいぶぜんくつい)」です。

首を前屈みにすると「1.食塊の通路が広がる。2.嚥下反射が起こりやすくなる。3.気道の保護が行なわれる」という理由で誤嚥が起こりにくくなります。

頸部前屈位は、ちょうどアゴと首の間に指が3~4本ほど入るほどの角度になります。

首の伸びた状態は「頸部伸展位(けいぶしんてんい)」と言います。
のどの前側にある嚥下に関連した筋が緊張状態になり、舌骨と咽喉が上がりにくくなることで、気管の入り口が充分に塞がるのを妨害してしまいます。

「頸部前屈位」を抑えながら、飲み込みやすい姿勢で食事をする際のポイントを「椅子・車椅子・ベッド」別にまとめてみました。

イスに座る場合

座卓での食事は猫背(円座)になりやすく、嚥下がしにくい姿勢です。
できればテーブルとイスで食事をした方が、飲み込みやすく、誤嚥の心配も減らせます。

足を床につける

食事をする時は、身体の重心が前へ移動するので、腹筋や背筋を使って姿勢を安定させます。

筋力が衰えてきた高齢者の場合、腹筋や背筋だけでは姿勢を維持できない場合が多いので、床に足を付けて踏ん張ることも必要になります。

足が床に付かない場合は、台などを置いて調整します。

テーブルの高さは「ひじの角度が90度」

テーブルが高過ぎると、目線が自然に上になるので、どうしても頚部伸展位になりがちです。

テーブルの高さはひじの角度が90度になるように調整。ひじが乗る程度までテーブルと身体の距離を近付けます。

猫背(円座)の人がイスに座ると、頚部伸展位になり、背骨の一部に体重がかかって姿勢が崩れやすくなります。

イスに触れていない背部~腹部にタオルなどを入れて、背部~腹部の全体が背もたれに付くようにすることで、姿勢が長時間保てます。

車椅子に座ったまま食べる場合

車椅子に座っていると、座面が後ろに傾いていたり、床に足が付かなかったりする為、どうしても飲み込みに適した姿勢を作りにくいです。

椅子に座って食べるのが最も良いのですが、諸事情で車椅子に座ったまま食べる必要がある場合は、以下の2点に注意して下さい。

・身体の重心を前に移動しやすくしたり、足で踏ん張れるようにする為、足をフットサポートから下ろす。
・座面にクッションを敷いたり、後輪に台を置いたりして、座面を水平または前方がやや低くなるように調整する。

ベッドで食べる場合

テーブルとイスで食べるのが難しく、ベッドを上半身を起こして食事をする場合、自分で食べるのではなく、原則介助者に食べさせてもらいます。

どうしてもテーブルと自分の身体の位置が離れ過ぎてしまうので、自力で食べるのが難しくなります。

角度を調整する

ベットに寝たままだと食べにくいので、背もたれが30度または60度の角度になるように調整します。人やその時の体調によって適した角度は異なるので、あくまでも目安程度に考えて下さい。

【30度】
○食べ物が口からこぼれにくく、飲み込みやすい。
○食べ物が気管へ入りにくい。
?自力で食べたり飲んだりするのが難しい。

【60度】
○視野が広くなることで、食べることの意欲が増す。
○食べ物の逆流が少ない。
○上半身が自由に使いやすい。
?食べ物が咽喉に落ちにくい。

ギャッジアップしたままの体勢だと、腰が下にズレていることが多いので、身体を上方に引き上げて、腰をベッドの折れ目に合わせます。

枕やクッションで固定する

左右の傾きを減らしたり、ベッドからずり落ちたりしないように、 部分は枕やクッションで固定します。

【頭】
首が後ろに反らないように、枕やクッションを置く。

【ひざ】
軽く曲げた状態を保ち、ベッドからずり落ちないように、ベッドの折れ目に合わせるか、ひざ下にクッションを置く。

【足元】
ずり下がらないよう、足の裏にクッションを付ける。

最後に

誤嚥を防ぐには姿勢だけではなく、食べる環境にも配慮する必要があります。

例えば嚥下障害がある人や介助する人にとって、体力や集中力が持続するのは30~45分程度です。

「テレビを見ながら食べる」「介助者が必要以上に話しかける」など、気が散ったり、だらだら食べたりする環境に置かれていると、誤嚥する危険性が高まります。

誤嚥や窒息が起きた場合は「自宅介護するなら知っておきたい誤嚥・窒息時の対応マニュアル」を参考に、一刻も早く気管内の食べ物を除去することが必要です。

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