自宅介護するなら知っておきたい誤嚥・窒息時の対応マニュアル
食事や姿勢にどれだけ気を付けていても、誤嚥や窒息が起こる可能性はあります。
主な症状は以下の通りです。
・咳き込んだり、ゼイゼイと息苦しそうな音がする。
・呼吸困難状態になるので、苦しそうなジェスチャーを取る。
・顔が赤くなり、唇が青紫色(チアノーゼ)になる。
誤嚥や窒息が起きたことに気付いたら、早急に気管内の食べ物を除去する必要があります。
誤嚥の対処法
- 吐き出しやすい姿勢を取る
- 異物をかき出す
- 背中を強く叩く
- 腹部圧迫法(ハイムリッヒ法)を行なう
- 吸引器を使う
吐き出しやすい姿勢を取る
机に手を付き、アゴを上げず、少し前屈みの姿勢を取り「エヘンエヘン」と息を強く吐き出します。
せきと一緒に誤嚥した食べ物を吐き出させます。
異物をかき出す
詰まっている食べ物が見える時は、誤嚥した人の正面に立ち、指を噛まれても大丈夫なようにハンカチやガーゼを指に巻いて、口の中の異物をかき出します。
のどの奥に指を入れて、嘔吐反射を利用して、吐き出させるのも効果的です。
誤嚥した人が入れ歯をしている場合はすぐに外して、異物や舌を口の奥に押し込まないようにすることが大切です。
背中を強く叩く
誤嚥した時は、自分で吐き出してもらうのが一番良いです。
背中を叩き、せきをしやすい状態を作ることで、せきと一緒に誤嚥したものを吐き出させます。
【背部叩打法】
1.誤嚥した人を座らせる(または横向きに寝かせる)。
2.左右の肩甲骨の間を、手のひらの付け根近くで数回強く叩く。
※軽く叩くと誤嚥したものが気道や肺で広がる危険性があるので「強く」。
3.せきをさせて、誤嚥したものを吐き出させる。
腹部圧迫法(ハイムリッヒ法)を行なう
咽頭(のどの奥)や気管をふさいで窒息状態になった時は、腹部圧迫法(ハイムリッヒ法)を行ないます。
【腹部圧迫法(ハイムリッヒ法)】
1.誤嚥した人の背中側に回る。
2.片方の手でこぶしを作り、みぞおち(お腹の上中央にある窪んだ部位)に押し当てる。
3.もう片方の手で、こぶしを作った手の手首を握る。
4.相手を引っ張り上げるように、腹部に圧力をかける。
吸引器を使う
吸引器の吸引管を口の中に入れることで、せきや嘔吐反射を起こし、吐き出される食べ物を吸引します。
手動式、足踏み式、電動式があり、吸引力がそれぞれ異なります。
いつでも使えるように、食事をする部屋に1台置いておくと安心です。
窒息の場合は緊急対応
食べ物をのどに詰まらせていたり、意識が無かったりする場合は、すぐに救急車を呼びます。
救急車が到着するまでに、できるだけの応急処置を行ない、呼吸ができる状態に戻すことが大切です。意識がなく脈がなければ心肺蘇生も行ないます。
また窒息までいかなくても、大量の食べ物や飲み物を誤嚥した場合は、必ず医療機関(耳鼻咽喉科)を受診して下さい。
少量の誤嚥でも誤嚥性肺炎になる可能性もあるので、誤嚥後に違和感を覚えたり、発熱やせきがあったりする場合は、医療機関の受診を強くおすすめします。